本稿では植物学雑誌47巻554号 (1933) 89頁 “Taraxacum Novum Orientali-Asiaticum I” (小泉秀雄) に準拠する。これは記載論文である。
ウスギタンポポ Taraxacum shinanense H. KOIDZUMI
(小泉体系種内分類群)
- ツノナシウスギタンポポ Taraxacum shinanense var. ecorniculatum H. KOIDZUMI
- ヒロハウスギタンポポ Taraxacum shinanense var. latifolium H. KOIDZUMI
- ホコガタウスギタンポポ Taraxacum shinanense var. sagittato-hastatum H. KOIDZUMI
(タイプ) 信濃:聖岳 (小泉秀雄 採取)
(分布) 信濃:地蔵岳、茶臼岳、地獄谷
全株は10-37 cm。花は白淡黄色。根は多くの場合やや太く、長く、単頭、まれに双頭。表皮は黒ずむ。頸部の鱗片はほとんど無いか、まったく無い。葉は7-20枚が束生し、草質でやや柔らかく、緑色、またはやや淡緑色。全体として斜上から亜直生、しばしば亜平開。多くの場合は匙状倒披針形、または線状倒披針形。多くの場合は羽状浅裂、まれに羽状深裂。基部に向かって徐々に、長く楔型に狭まり、多少長い葉柄となる。葉柄は無翼、またはたびたび狭く広い[註:趣旨不明]翼を持つ。表面は無毛、またはやや無毛で、まれにやや軟毛が生える。裏面はやや無毛、または細長毛が疎らに生え、または主に主脈上に軟毛が生える。極端な場合は1-3枚、しばしば0枚、または4枚で他のより小さく、長さ2-12 cm。全縁またはやや羽状から歯牙状で、たびたび羽状浅裂。開花時には多少傷み、やや茶色になる。外輪の葉と内輪の葉は同形で、長さ5-28 cm、幅1.5-8 cm。先端は急尖頭まれに鋭頭、またはやや鋭頭。葉柄は長さ4-9 cm。多くの場合は補足分裂する羽状浅裂から深裂まれに波状縁、または不整な歯牙縁で、やや裂片が多い。裂片は3-7対。裂片の間は多くの場合無い。側裂片は離れているか近接しており、短く、互生し、または対生する。長三角形まれに三角形で、前側に曲がり、または開出し、まれに反曲する。鋭頭、またはやや急尖頭。全縁または少数の歯牙縁。頂裂片は多くの場合三角状長菱形で、たびたび丸みを帯びた三角形。全縁または少数の歯牙縁。葉脈と葉柄はたびたび淡く紅色を帯びる。花茎は1-4本で直生または斜上し、やや太く、または細く、長さ8-35 cm。開花時には葉と多少同長になるか、葉よりも長くなり、先端は特に密にクモ毛が生え、さらに全体または部分的にクモ毛状の軟毛から軟毛が生える。頭花は大きく、長さ2-2.5 cm、幅3-4.5 cm。頭花は直径3-4.5 cm。放射状で花数は多く、白淡黄色。舌状花は長さ8-13 mm。舌状花は乾燥標本では淡黄色で、下方の中央には褐色の条またはオリーブ色から淡緑色の斑紋がある。鈍頭で5細裂。縦に走る長い脈が6本ある。裏面や筒部の上部には微細な縁毛がある。筒部は長さ4-7 mm。総苞全体は鐘形で長さ1.7-2 cm、幅1.5-1.8 cmで、基部は卵状倒円錐形、または卵形。総苞片はやや密に位置し、明瞭に2列に並び、不等長。多少淡緑色。小さい角状突起があるか、無角。総苞内列片は全部で14-23枚で、線状披針形で長さ1.5-2 cm、幅1.5-3 mm。狭く、あるいは広く明瞭な透明の縁どりがあり、淡緑色またはややオリーブ色がかった淡緑色。背面は黒みがかり、1-3条が走り、上部は徐々に細まり、多少長い尾になる。背面は軟毛が生え、縁には密に、あるいはやや密に細毛が生え、たびたび円鋸歯状の小数の歯牙縁となる。鈍頭または円頭状の鈍頭で紫褐色。多くの場合角状突起は無いが、ごく稀に小さい角状突起があるか、瘤がある。花冠毛は細長く、数個の細胞 (普通5-7) から成る。果実は大きく、背腹で多少圧展され、倒卵形-長楕円形または倒卵状紡錘形で、長さ5-6 mm、幅1.2-1.5 mm。藁色、または茶褐色または淡褐色でたびたびオリーブ色を帯びた褐色。先端は急に縮まり、基部は徐々に狭まる。果頭は長く狭い円錐形で長さ1-1.2 mm、先端は無節、ごく稀に有節。各面ごとに不明瞭または明瞭な1-2本の肋があり、2-3本の肋がある。全面に非常に微細な棘を葺く。果体は倒卵形。各面ごとに縦方向の2-4本の深い溝があり、0-(1)-3本の浅い間溝があり、3-7本の隆起がある。多くの場合不明瞭またはやや明瞭な小突起またはやや針状の小突起があり、両面には特に大きく内側に曲がった針状の1列の棘がある。小刺は小さいか、または大きく、まれに、またはしばしば歯牙状から円鋸歯状、鋭頭または鈍頭。さらに果体の全面には密に、またはまばらに非常に微細な針状のざらつきがある。果脚はやや短く、円柱状倒円錐形で、基部はやや切形。どちらの面にも同数の溝と隆起があるが、隆起は2、まれに3本で、下部ではまれに、またはしばしば1本に合流する。全体に皺は無く、両面に1列に並んだ微細な棘と縁毛がある。嘴は真っすぐ、または弓状に曲がり、糸状、長さ約5-11 mmで、淡白色または淡藁色。完全に平滑で光沢がある。冠毛托は有盤状倒円錐形で微細な歯牙縁。鮮やかな褐色に色づく。冠毛は非常に多く、細長く長さ8-10 mm。白淡黄色または白淡褐色で、常に微細な歯牙がある。
【考察】
小泉秀雄が初めて正式な形で記載を行った論文において新たに記載された複数種のうち、一番初めに記されているタンポポ属植物である。分類学上の扱いの変遷として、北村はオクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI と同一と見做した上で、記載の先後からオクウスギタンポポを本種の異名とし、本種を種の区分で扱った。一方で森田は本種をエゾタンポポ T. venustum H. KOIDZUMI の異名として扱っている。本種とエゾタンポポは同論文中で記載されており、どちらの学名を採用するかは分類学者の判断に依るところになると思われるが、エゾタンポポの場合花は黄色であるから、その他のエゾタンポポの異名と扱われたタンポポ属植物との均衡から、森田はT. venustum H. KOIDZUMI の学名を採ったものと推察する。この時、特に品種等の扱いはなされていないので、森田はあくまでエゾタンポポの色の薄い型という程度の扱いをしていることとなる。これらの扱いに対して、芹沢 (2006) では原記載の内容からキビシロタンポポやオクウスギタンポポとは異なり、エゾタンポポに近いものであることを指摘した上で、「ウスギタンポポが他から種の階級で区別できるような独立性の高い分類群ならば、淡黄色花の個体は自生地においてまとまった集団として存在していることが期待される」という仮説のもと長野県の聖高原を探索し、その結果黄花のタンポポ属植物しか見出せなかったことを以て「ウスギタンポポが種の階級で区別できる分類群である可能性は低く、エゾタンポポの一型である可能性が高いと判断される。」と結論している。これは結果的に森田の見解に副うものである。
しかしながら、基準産地はProv. Shinano : Mt. Hijiriと書かれており、小泉は「X岳」と呼称される場合であっても”Mt. X”と表記していることから、「聖岳」でなく直ちに「聖山」と判断することは出来ない。芹沢はこれを聖山と判断し、草原環境を想定した上で聖高原を探索したのであろうが、聖岳の可能性を検討しなかった点は落ち度である。等価基準標本の産地はMt. Jizo, Mt. Chausu, Mt, Jigokudani の3つであり、Mt, Jigokudani を除いて、長野県には地蔵山もあれば地蔵岳もあり、茶臼山もあれば茶臼岳もある。地獄谷山あるいは地獄谷岳と呼称されるべきものは存在しないが、長野県で地獄谷と言えば、志賀高原の麓の地獄谷温泉か、八ヶ岳の地獄谷が有名であろう。後者の場合茶臼岳とは位置的に近接している。聖高原はせいぜい標高1000 m程度であるが、仮に聖岳であった場合標高は2000 mを超え、他の地蔵岳や茶臼岳も同様である。また、原記載を観るに開花期には葉が傷み、葉を落とした状態で咲くこともあるという記述はいかにも過酷な高山帯を想起させる。長野県の植物誌を参照し、聖岳においてタンポポ属植物が記録されているかを確認すべきであろう。
ところで本種の学名に対して「オクウスギタンポポ」の和名を与えているケースが散見される。これは北村の見解に従い、T. denudatum H. KOIDZUMI がT. shinanense H. KOIDZUMI の異名になったことを採用しつつも、和名は従前のオクウスギタンポポを充てていることにより生じているものと考えられる。北村はT. shinanense H. KOIDZUMI の和名としてウスギタンポポ、オクウスギタンポポ、ナンブシロタンポポの3つを挙げているため、「オクウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」という取り扱いは誤りとは言えないが、従来T. shinanense H. KOIDZUMI という学名にはウスギタンポポという和名が対応していたことを考えると、混乱のもとではあると考える。また、オクウスギタンポポについては先の芹沢 (2006) でオクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI = キビシロタンポポ T. hideoi NAKAI ex H. KOIDZUMI = イガウスギタンポポ T. albidum var. igaense H. KOIDZUMI = ナンブシロタンポポ T. nambuense H. KOIDZUMI であることが提唱され、学名に関しては先後の関係からT. denudatum H. KOIDZUMI を、そして和名についてはキビシロタンポポを充てている。和名は何らかの規則に縛られる性質のものではないが、それぞれの分類体系に対応するものを充てるのが合理的であると考えた場合、芹沢 (2006) を採る時、東北の従来よりオクウスギタンポポと呼ばれているものには「キビシロタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」のラベルが付与されるべきであろう。同一の個体に対して、小泉体系を採る場合は「オクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」になり、北村体系を採れば「ウスギタンポポ (オクウスギタンポポ、ナンブシロタンポポ) T. shinanense H. KOIDZUMI」となる。山形県のレッドデータブックでは小泉体系に準拠した呼称を、茨城県のレッドデータブックでは北村体系に準拠した呼称を用いていることが確認できた。ここで、日本のレッドデータ検索システムで「オクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」を検索した時、秋田県と山形県がヒットする (リンク先参照)。また、「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」を検索した時、茨城県と長野県がヒットする (リンク先参照)。最後に「キビシロタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」を与えても、これにヒットするものは無い。レッドデータブックの実務においては、キビシロタンポポには依然「キビシロタンポポ T. hideoi NAKAI ex H. KOIDZUMI」が採用されており、これは小泉体系に準拠していると言える (リンク先参照)。この取り扱いは西日本タンポポ調査報告書2015でも同様で、鈴木は芹沢 (2006) の見解をもっともとしつつ、「従来からの学名を用いておく」という立場を表明している。なお、森田体系における「エゾタンポポ T. venustum H. KOIDZUMI 」はどの県でもレッドデータブックの指定が無い。
ここで重要になるのは、長野県レッドデータブックにおける「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」の指定は、小泉体系に準拠した指定なのか、北村体系に準拠した指定なのかが不明であるという点である。本稿のテーマである小泉体系での「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」は、Mt. Hijiriを基準産地とするそれであるが、もしこれが北村体系での「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」であるならば、小泉体系における「オクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」と「ナンブシロタンポポ T. nambuense H. KOIDZUMI」も内包されることとなる。ここで森田体系や芹沢 (2006) の見解を持ち出した際、「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」と「オクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」、「ナンブシロタンポポ T. nambuense H. KOIDZUMI」は別種として扱われるべきことになる。長野県のレッドデータブックの指定が小泉体系に準拠している場合、これは森田体系、芹沢 (2006) の見解を採用しない、すなわち小泉体系における「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」が長野県に存在することを意味し、北村体系に準拠している場合、やはり小泉体系における「ウスギタンポポ T. shinanense H. KOIDZUMI」が長野県に存在する可能性と、芹沢 (2006) の見解において同種にまとめられた「キビシロタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」、すなわち小泉体系における「オクウスギタンポポ T. denudatum H. KOIDZUMI」あるいは「ナンブシロタンポポ T. nambuense H. KOIDZUMI」に相当するものが存在する可能性が併存することになる。
このように、長野県における本種の実存性においては依然未解決であり、混乱のある内容であるため、早急に検討されるべきである。また、分類学上の変遷が複雑である分類群の場合、学名と和名の対応によって準拠した分類学上の立場が変わってくることがあるものの、こうした背景を無視してコピペ的に学名と和名を充てた場合、その種が何を指しているのかについて不明瞭になってくる。「タヌキ・ムジナ事件」のようなことが保全の実務上で生じる可能性があることをここに指摘しておく。こうした問題の解決のためには、レッドデータブックの指定においても根拠となる標本を選定しておくなどの対策が必要であろう。
最後に、学名と和名のコピペに関して、Ylistに言及しておく。Ylistは我々アマチュアの植物愛好家にとって気軽に文献を探索できる大変有益なサイトである。しかし、これを学名の検索ツールとして用いてはならない。YlistではT. shinanense H. KOIDZUMI の学名にエゾタンポポの和名を充てているが、このような学名と和名の対応は先述のいずれの学説にも見られないものであり、未だ初出を確認できていない (リンク先参照)。また、T. sinanense auct. non H. KOIDZUMI というページもあり、これにはオクウスギタンポポの和名を充てながら、当該学名を異名として扱い、標準名としてT. denudatum H. KOIDZUMI のページに誘導している (リンク先参照)。そしてT. denudatum H. KOIDZUMI のページではオクウスギタンポポの和名を充てている (リンク先参照)。これは一見小泉体系に準拠した記述であるように捉えられるが、ノートとして「Morita (in Ohashi et al., Wild Flow. Jap. rev. ed. 5: 288, 2017)はキビシロタンポポの異名とするが,両者を合一した場合の名にSerizawa (2006)がオクウスギタンポポを選んでいるのでそちらに優先権がある」と付言されている。つまりこの学名と和名の対応は芹沢 (2006) の見解を踏まえたものとして標榜されているわけである。しかしながら、芹沢 (2006)では「和名は、T. denudatum にはオクウスギタンポポが対応する。しかし、「ウスギ」に地域名を冠したオクウスギタンポポは、淡黄色花タンポポ全体の名称としては使いにくい。そこで、次に記載されたT. hideoi の和名であるキビシロタンポポを、今回まとめた意味での T. denudatum に対する和名として用いることにしたい。こちらも地域名を冠した名称であるが、比較の対象がシロバナタンポポなので違和感が少ないと思う。」と記されている。この文章から分かる通り、芹沢 (2006) の見解に準拠した場合、T. denudatum の学名に対応する和名はキビシロタンポポとなる。すなわち、Ylistは本文の解釈を誤ったものと言わざるを得ない。
以上、T. shinanense H. KOIDZUMI に係る学名と和名の対応の混乱を整理した。タンポポ調査はじめ、保全等の実務においては、当然のことではあるが過去の文献をよく参照し、分類学上の立場を明確にした上で種を取り扱わなければ、絡まった糸をそのまま織り込むことになりかねない。
1)
●Herba 10-37 cm. alta,
▲/
■全株は10-37 cm。
2)
●flores albo-flavescentes.
▲/
■花は白淡黄色。
3)
●Radix plerumque crassiuscula et elongata, mono-raro biceps, cortice nigrescenti, collo haud vel vix squamato.
▲/
■根は多くの場合やや太く、長く、単頭、まれに双頭。表皮は黒ずむ。頸部の鱗片はほとんど無いか、まったく無い。
4)
●Folia 7-20 fasciculata, herbacea et submollia, viridia vel subviridescentia, ascendentia-suberecta saepe subpatentia, plerumque spathulato-oblanceolata vel lineari-oblanceolata, plerumque pinnatilobata raro pinnatipartita, ad basin sensim longe cuneatim angustata, plus minus longi-petiolata, petiolis exalatis vel saepe anguste lateque alatis, supra glabra vel subglabra raro subpilosa, infra subglabra vel pilosella vel praecipue in nervis medianis pilosa. Folia extrema 1-3 saepe 0 vel 4 ceteris minora, circ. 2-12 cm. longa, margine integra vel subpinnati-dentata saepe pinnati-lobata, sub anthesin plus minus emortua et subfuscata. Folia exteriora et interiora subconformia 5-28 cm. longa 1.5-8 cm. lata, apice mucronata raro acuta vel subacuta, petiolis 4-9 cm. longis, margine plerumque runcinato-pinnatilobata-partita raro repanda vel irregulare dentata, submultilobata,
▲/
■葉は7-20枚が束生し、草質でやや柔らかく、緑色、またはやや淡緑色。全体として斜上から亜直生、しばしば亜平開。多くの場合は匙状倒披針形、または線状倒披針形。多くの場合は羽状浅裂、まれに羽状深裂。基部に向かって徐々に、長く楔型に狭まり、多少長い葉柄となる。葉柄は無翼、またはたびたび狭く広い[註:趣旨不明]翼を持つ。表面は無毛、またはやや無毛で、まれにやや軟毛が生える。裏面はやや無毛、または細長毛が疎らに生え、または主に主脈上に軟毛が生える。極端な場合は1-3枚、しばしば0枚、または4枚で他のより小さく、長さ2-12 cm。全縁またはやや羽状から歯牙状で、たびたび羽状浅裂。開花時には多少傷み、やや茶色になる。外輪の葉と内輪の葉は同形で、長さ5-28 cm、幅1.5-8 cm。先端は急尖頭まれに鋭頭、またはやや鋭頭。葉柄は長さ4-9 cm。多くの場合は補足分裂する羽状浅裂から深裂まれに波状縁、または不整な歯牙縁で、やや裂片が多い。
5)
●lobis 3-7 paribus, interlobulis plerumque destitutis; lobis lateralibus distantibus vel approximatis, brevioribus, alternis vel oppositis, triangularibus raro deltoideis, curvatis vel patentibus raro recurvatis, apice acutis vel subcuspidatis, margine integris vel paucidenticulatis; lobo terminale plerumque deltoideo-rhomboideo saepe rotundato-deltoideo, margine integro vel paucidenticulato; costis cum petiolis saepe pallide erubescentibus.
▲/
■裂片は3-7対。裂片の間は多くの場合無い。側裂片は離れているか近接しており、短く、互生し、または対生する。長三角形まれに三角形で、前側に曲がり、または開出し、まれに反曲する。鋭頭、またはやや急尖頭。全縁または少数の歯牙縁。頂裂片は多くの場合三角状長菱形で、たびたび丸みを帯びた三角形。全縁または少数の歯牙縁。葉脈と葉柄はたびたび淡く紅色を帯びる。
6)
●Scapi 1-4, erecti vel ascendentes, crassiusculi vel tenues 8-35 cm. longi, sub anthesin cum foliis plus minus aequilongi vel ea superantes apice praecipue dense araneo-lanati, praeterea ubique vel passim araneo-pilosi-pilosuli.
▲/
■花茎は1-4本で直生または斜上し、やや太く、または細く、長さ8-35 cm。開花時には葉と多少同長になるか、葉よりも長くなり、先端は特に密にクモ毛が生え、さらに全体または部分的にクモ毛状の軟毛から軟毛が生える。
7)
●Capitula majora, 2-2.5 cm. longa 3-4.5 cm. lata. Calathium diametro 3-4.5 cm. sat radiaturn et polyanthum, albo-flavescens. Flosculi ligulati 8-13 mm. longi; ligulae in exsiccatis flavescentes, subtus mediano stria fusco vel olivaceo-viridescente notatae, apice obtuse 5-denticulatae, nervis longitudinalibus 6, inferne dorso atque parte tubi superiore minute ciliolatis, tubo 4-7 mm. longo.
▲/
■頭花は大きく、長さ2-2.5 cm、幅3-4.5 cm。頭花は直径3-4.5 cm。放射状で花数は多く、白淡黄色。舌状花は長さ8-13 mm。舌状花は乾燥標本では淡黄色で、下方の中央には褐色の条またはオリーブ色から淡緑色の斑紋がある。鈍頭で5細裂。縦に走る長い脈が6本ある。裏面や筒部の上部には微細な縁毛がある。筒部は長さ4-7 mm。
8)
●Involucrum campanulatum 1.7-2 cm. longum 1.5-1.8 cm. latum, basi ovato-turbinatum vel ovatum ; involucri foliola subdense collocata distincte biserialia inaequilonga, plus minus viridescentia, parvi-corniculata vel ecorniculata.
▲/
■総苞全体は鐘形で長さ1.7-2 cm、幅1.5-1.8 cmで、基部は卵状倒円錐形、または卵形。総苞片はやや密に位置し、明瞭に2列に並び、不等長。多少淡緑色。小さい角状突起があるか、無角。
9)
●Squamae series exterioris 2-2.5 seriales adpressae vel subpatentes, vulgo araneoso-pilosae subglabrae, ovatae vel ovato-oblanceolatae raro oblongae vel anguste oblongae, 6-8 mm. longae 2.5-4.5 mm. latae, parte superiore plus minus caudatae, apice obtusae vel subrotundato-obtusae, subpapyraceae et reticulato-venulosae, margine toto crispato-fimbriatae, vulgo indistincte marginatae vel plus minus distincte marginatae superiores saepe crenulato-denticulatae, sub apicem saepe parvicorniculata vel callosae vel ecorniculatae, toto viridescentes sed apice et nervoque atro-purpuratae.
▲/
■総苞外列片は2-2.5列で厭伏またはやや開出し、普通クモ毛状の軟毛があるかやや無毛。卵形または卵状倒披針形、まれに長楕円形または狭楕円形で、長さ6-8 mm、幅2.5-4.5 mm。上部には多少尾がある。先端は鈍頭またはやや円頭状の鈍頭、やや紙質で網状の脈がある。縁には全体に縮れた長縁毛がある。縁は普通は不明瞭、または多少明瞭で、上部にはたびたび細円鋸歯状の歯牙がある。先端近くにはたいてい小さい角状突起または瘤があるか、無角。全体は淡緑色だが、先端と脈は黒みがかった紫色。
10)
●Squamae series interioris toto 14-23, lineares-lanceolatae 1.5-2 cm. longae 1.5-3 mm. latae, anguste-late et distincte hyalino-marginatae, viridescentes vel subolivaceo-viridescentes, dorso nigrescente 1-3 striato-nervatae, parte superiore, sensim attenuatae et plus minus elongato-caudatae dorso pilosae-subpilosae margine dense-subdense ciliatae saepe crenulato-pauci-denticulatae, apice obtusae vel rotundato-obtusae et fusco-purpuratae, plerumque ecorniculatae rarissime parvi-corniculatae vel callosae.
▲/
■総苞内列片は全部で14-23枚で、線状披針形で長さ1.5-2 cm、幅1.5-3 mm。狭く、あるいは広く明瞭な透明の縁どりがあり、淡緑色またはややオリーブ色がかった淡緑色。背面は黒みがかり、1-3条が走り、上部は徐々に細まり、多少長い尾になる。背面は軟毛が生え、縁には密に、あるいはやや密に細毛が生え、たびたび円鋸歯状の小数の歯牙縁となる。鈍頭または円頭状の鈍頭で紫褐色。多くの場合角状突起は無いが、ごく稀に小さい角状突起があるか、瘤がある。
11)
●ciliis tenuibus cellulis numerosis (vulgo 5-7) compositis; tubo 4-7 mm. longo.
▲/
■花冠毛は細長く、数個の細胞 (普通5-7) から成る。
12)
●Achenia magna dorsi-ventrali plus minus compressa obovato-oblonga vel obovato-fusiformia 5-6 mm. longa 1.2-1.5 mm. lata, straminea vel fusco-brunnea vel subbrunnea saepe olivaceo-brunnea, apice subito contracta basi sensim angustata;
▲/
■果実は大きく、背腹で多少圧展され、倒卵形-長楕円形または倒卵状紡錘形で、長さ5-6 mm、幅1.2-1.5 mm。藁色、または茶褐色または淡褐色でたびたびオリーブ色を帯びた褐色。先端は急に縮まり、基部は徐々に狭まる。
13)
●capita longe et anguste conica 1-1.2 mm. longa, apice inarticulata rarissime articulata, in quaque facie obscure vel conspicue 1-2 sulcata longitudine 2-3 costulata, in tota facie minutissime aciculata;
▲/
■果頭は長く狭い円錐形で長さ1-1.2 mm、先端は無節、ごく稀に有節。各面ごとに不明瞭または明瞭な1-2本の肋があり、2-3本の肋がある。全面に非常に微細な棘を葺く。
14)
●truncis obovatis, in quaque facie longitudine 2-4 alte sulcatis 0-1-3 vadoso-intersulcatis 3-7 costatis, plerumque obscure vel suconspicue tuberculatis vel subspinuloso-tuberculatis, in utroque latere praecipue majore et antrosum spinescenti-uniseriali-aciculatis, spinulis parvis vel magnis raro vel saepe denticulatis-crenulatis apice acutis vel obtusis, insuper in tota truncorum facie dense vel sparse minutissime aciculato-scaberrimis;
▲/
■果体は倒卵形。各面ごとに縦方向の2-4本の深い溝があり、0-(1)-3本の浅い間溝があり、3-7本の隆起がある。多くの場合不明瞭またはやや明瞭な小突起またはやや針状の小突起があり、両面には特に大きく内側に曲がった針状の1列の棘がある。小刺は小さいか、または大きく、まれに、またはしばしば歯牙状から円鋸歯状、鋭頭または鈍頭。さらに果体の全面には密に、またはまばらに非常に微細な針状のざらつきがある。
15)
●peditibus subbrevibus tereti-obconicis basi truncatis, in aequefaciebus aequale sulcatis et costatis sed costulis 2 raro 3 inferiore raro vel saepe in unico conniventibus, toto non rugosis, in utroque latere uniseriali minute aciculatis et ciliolatis, insuper ubique dense vel sparse minutissime aciculato-scaberrimis et ciliolatis; rostra stricta vel arcuata, et filiformia, circ. 5-11 mm. longa, albescentia vel pallide straminea, usque glaberrima et lucida.
▲/
■果脚はやや短く、円柱状倒円錐形で、基部はやや切形。どちらの面にも同数の溝と隆起があるが、隆起は2、まれに3本で、下部ではまれに、またはしばしば1本に合流する。全体に皺は無く、両面に1列に並んだ微細な棘と縁毛がある。嘴は真っすぐ、または弓状に曲がり、糸状、長さ約5-11 mmで、淡白色または淡藁色。完全に平滑で光沢がある。
16)
●Receptaculum discoideo-obconicum minute denticulato marginatum, laete brunneo-coloratum;
▲/
■冠毛托は有盤状倒円錐形で微細な歯牙縁。鮮やかな褐色に色づく。
17)
●pappi setae numerosissimae, tenues 8-10 mm. longae, albo-flavescentes vel albo-brunescentes, semper minute denticulatae.
▲/
■冠毛は非常に多く、細長く長さ8-10 mm。白淡黄色または白淡褐色で、常に微細な歯牙がある。
【標本】
科博データベースでは検索に掛らない。

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